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革新的なシェア型書店!?『PASSAGE』にインタビュー!【後編 】

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革新的なシェア型書店!?『PASSAGE』にインタビュー!【後編 】

【前編】に引き続き、神保町にある共同書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」の代表取締役社長・由井緑郎さん(以下:由井さん)にお話を伺いました!

「ガクコエ!」ライターの織田君(右) と 「PASSAGE by ALL REVIEWS」の由井緑郎さん(左)

由井さん:最近はテクノロジーを神保町に持ち込みたいと思っていて。特に好きなのが「ラボット」というロボットで、3店舗目の2階に入れています。名前を公募して、三つに絞って一般の方に投票してもらって、その名前で迎える、という企画をやったんです。Instagramの投票機能を初めて使ってみたんですけど、すごく大変で。ストーリーズに毎日上げないといけなくて、アンケートを見て、また次の日も流して…。本当に手間がかかる。

ーSNS運用って、外注している会社も多いですが、自分たちの思いを直接伝えたいから内製でやる、という企業もありますよね。

由井さん:社員やバイトの人にやってもらうのは簡単なんですが、やり方が分からないスタッフもいるし、SNSが苦手な人もいる。だからマニュアルを作って、誰でもできるようにしています。

ーこの前、二号店の前を通ったらバイト募集の貼り紙があって、「生成AI好きな方」って書いてあって、びっくりしました。

由井さん:僕がAI大好きで超ハマってるんですよ。

ーAIを実際の仕事にうまく取り込んでいるんですね。

由井さん:そう、本当に面白いです。今後、本や書店の業界でもAIを使えば勝てるんじゃないかと考えています。

ー確かに、競合はまだ少なそうですね。

由井さん:ただ懸念もあって、知識が全部データ化されて、脳みそが要らなくなってしまうんじゃないかとも思います。知識が完全に統一化されて、無料で共有されるようになる可能性もありますから。

ーそうなると人間の役割が変わってきそうです。

由井さん:たとえばイヤホンで会話中にAIがリアルタイムでアドバイスしてくれる未来が来るかもしれない。「次はこの話題をすると相手が喜ぶよ」って教えてくれるような。恋愛なんかでも、AIを通して会話が無限に続くようになるかもしれない。でも実際に会ったら全然面白くない、なんてことも起きるかもしれませんね。

ー映画の世界みたいですね。

由井さん:本当に。十年後には全然違う世界になっていると思うので、今は全力で楽しみたいと思っています。

ー由井さんご自身は、就職活動のときにどういうビジョンを持っていたんですか?

由井さん:いや、全然何もなかったです。広告代理店で10年働いて、CMを作ったりしていました。でも業界は超ブラックで。お客さんの言うことは絶対。夜中でも「直せ」と言われれば対応する。そんな環境でした。

ー大変そうですね…。

由井さん:みんな仕事が大好きで、寝ないで働くのが当たり前。僕はそこまで仕事が好きじゃなかったので、「自分で考えたことをやらないと無理だ」と思って独立しました。

ー転機があったんですね。

由井さん:そうですね。鹿島茂さんの本、「既存の財産を生かすことが成功の鍵だ」と思ったんです。だから書評メディアを始めて、国会図書館で資料をコピーして毎日テキスト化していました。最初は全然収益が出なかったけど、やりながら方向性を探っていった感じです。

ー最初は収益が出なくても続けてこられたのはなぜですか

由井さん:当時は本当に広告収入が少なくて、1日10円しか入らないなんてこともありました。だけど、国会図書館に通って昔の新聞や雑誌をコピーして、調べて、テキスト化して…。そういう日々を積み重ねるのが面白かったんです。

ー地道な努力ですね。

由井さん:そうですね。細かい校正作業は苦手でしたけど、ボランティアを募集したら100人くらい応募があって。「こんなに書評が好きな人がいるんだ」と驚きました。そこで「やりたい人はいっぱいいるんだ」と気づいて、ファンクラブ的な仕組みを作ったんです。

ーそれが今の活動につながっているんですね。

由井さん:そう。ファンクラブの人たちとSlackで交流すると、いろんなアイデアが出てきました。出版業界の外の人の方が自由に考えていることが多いんですよ。「新しい書店を作ったら?」っていう提案もそこで出てきて、じゃあやってみようかなって。

ーなるほど。強い決意があって始めたというより、流れに沿って動いてきたんですね。

由井さん:そうなんです。親が文学者だったこともあり、自然に本に関わるようになっただけで、「業界を変えるんだ!」みたいな気持ちはあまりなかったです。ただ、「やりたい人がいるなら形にすればいい」と考えてきました。

ーだからお店も「好きなものを置く」形なんですね。

由井さん:おすすめ本って推進力が強いから、他の人もつい読みたくなる。気づいたらどんどん深みにハマって出られなくなる。そういう空間を作りたいんです。

ー面白い仕組みですね。

由井さん:「棚主さんたちが居心地よく過ごせるように」と思ってやっています。自然な流れでここまで来た感じですね。

ー最近の大学生や若い世代に向けて、どんな変化を感じますか?

由井さん:口コミの力がすごく強いですね。友達が「この店に行こう」「この本を読もう」と言うと、それがそのまま行動につながる。デジタル広告よりも、口コミの方がずっと影響力があるんです。

ー確かに、友人のおすすめって強い動機になりますね。

由井さん:そうなんです。だからPassageも、おすすめ本しか置かない形にしました。それだけで空間が特別になるんです。

ーなるほど。一般的な新刊書店とはかなり違いますね。

由井さん:普通の書店だと写真撮影は禁止されていますよね。コピーされてしまうから。でも、うちは「おすすめ」中心なので、本そのもの以上に「誰が推しているか」が価値になる。そこが差別化ポイントですね。

ー確かに、売り方や見せ方の工夫ですね

由井さん:そう。大学生が来てくれて「面白い」と感じてもらえれば、それがまた口コミにつながる。小さな力の積み重ねが一番大事だと思っています。

ーSNSよりも人と人とのつながりを重視している、と。

由井さん:もちろんSNSも活用はしていますが、基本は「リアルのつながり」です。AIやテクノロジーは使い倒しますけど、人間が何を面白いと感じるかを大事にしています。

ーここまで聞いていると、AIもリアルも両方大事にしているんですね。

由井さん:そうですね。AIで効率化できる部分は徹底的に任せる。でも最後に人がどう感じるかは、人と人との関わりでしか作れない。だからバランスが大事だと思っています。

ーなるほど。最後に、これからの展望について教えてください。

由井さん:未来は正直わからないです。AIの進化も早すぎるし、三年後には全く違う世界になっているかもしれない。でも本や書店の形は必ず残ると思います。人が「好き」と思うものを集めて発信する場所はなくならない。だから僕は、「PASSAGE」を「好きの集合体」にしていきたいです。

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